森を感じる自然観察ハイク  inもみのき森林公園 実施レポート
−目の不自由な方を対象に− 2000/10/15



もみのき森林公園の夜明け(広島県吉和村)
主催:環境教育事務所 工房はやし
共催:歩く会「友遊」
協力:広島県森林インストラクター連絡協議会
後援:(社)広島県みどり推進機構
※この行事は平成12年度緑の募金事業、みどりづくり支援事業の助成を受けております。

[もみのき森林公園へ出発!]
広島駅新幹線口に集合し予定どおり8時に出発。 道中、バスの中でのおつまみとして「縄文人になったつもりでドングリを食べてみますか?」 という提案をしました。大半の方は渋い味をイメージされていたようですが、 茹でたマテバシイの素直な味に「これならいけるな」と感激。 シバグリのこくのある味も楽しみました。(提供は森林インストラクターの山川遊さん)
[ちょっと寄り道]
吉和村にはいって、青空市に立ち寄りました。 新鮮な野菜や、おはぎ、お餅などがたくさん。 そして予定通り10:00公園に到着です。
[午前中のプログラム]
概要説明、注意事項、スタッフ紹介、歩く会友遊の紹介、ストレッチの後、 広島大学の学生さんや、歩く会「友遊」の皆さん の協力で、サポーターとペアを作り、モミノキの小さな丘へ出発です。
[紅葉を感じる]
途中、紅葉しはじめたウリハダカエデの様子 を説明しています。葉にさわってもらい、カエデといっても 切れ込みが浅い様子や落ち葉の様子を観察しました。 紅葉は、押し葉にして、しおりをつくるため持って帰ってもらいました。 こうすれば冬まで秋の雰囲気が楽しめます。
[午前中のメインは野鳥観察]
鳥に詳しい中原さんから鳥のさえずりや地鳴きの話を聞いたり、 木の板で作った実物大の見本を触って大きさを実感したりしました。 またスズメ、ヒヨドリ、キジハト、カラスはモノサシドリと言われ、 鳥の大きさを表現する基準になるそうです。 また鳥の重さは、スズメ=スプーン(小)、ヒヨドリ=みかん、 キジハト=ドリンク1本、カラス=ドリンク3本相当だそうで、 実物のミカンやドリンクを持って鳥の重さを体験しました。
他にも巣箱の入り口の径によって入る鳥が大体決まることや、 鳥の体温が40度で暖かいのは運動能力と関係のあること、 飛ぶために体を軽くする必要があり腸が短く、いつも食べていること、 オシドリは毎年、相手を代えるという意外なお話しもありました。 鳥を通してみる自然環境の話はとても興味深いものでした。
[秋風にゆれるススキ]
廻りの自然を体感しながら、 大きなモミノキのたくさんある丘を目指して 覆い被さるようなススキの小道を上ります。 こんな道を歩くのは久しぶりという参加者も。
[モミノキの丘で]
大きく張り出した力枝が立派なモミの大木を抱えてみたり 葉を触ってみたり。足元にはモミ林に多い アカモミタケやヒメサクラシメジなどがたくさんありました。 ここでしばらく森の雰囲気を楽しみます。
[一本の楢の木]
モミの中に、なぜか一本の大きなナラの巨木があります。 途中の枝にはヤドリギもついていました。 この木がなぜここに根を張り、どのようにいままで育って きたのか?そんなことを想像してもらい、森の 命のつながりを感じてみました。 昼近くなり、丘を下りて公園センターまで戻ります。
[ナツハゼのデザート]
芝生に座ってお弁当です。食後のデザートはなんと、 森林インストラクター竹内さん特製のナツハゼのソース をかけたヨーグルトです。 子供のころナツハゼ(広島県ではハチマキイチゴと呼ぶ地方が多い) を食べた記憶のある参加者はこの味に感激です。最近話題のポリフェノール もたくさん含まれる実です。
[午後のプログラム−詩を作る]
午後のプログラムのはじめにゲームをしました。 ゲームといっても、簡単な文章あそびです。 各自は、他の人にわからないように、午前中の体験で、 感動したことを一行の簡単な文章にします。 今回は視覚障害者とサポーターのペアでひとつの文章を つくりました。その後、適当に二つのグループに分け、 グループ内でそのセンテンスを発表し、話し合いながら カードを並べ替え、ひとつの詩を作ります。
[感動の共有]
最後にグループの代表が発表、これはあるグループの作品です。

モミノキがたくさんあった。
モミノキは大きく。まさにモミノキは残った。
ススキが風にゆれていた。
ススキの山道をあるいた。
ヤマナラシが川の水の音のように響いていた。
鳥の声はあまり聞こえなかった。
「鳥の声が聞こえなかった」という一見マイナス志向の 文章から逆に晩秋の森の様子が伝わってきませんか? 鳥の声というのは、季節を表すひとつの要素である ことを再認識しました。
[グループで自然観察]
このあと5班に分かれて、それぞれ5人のインタープリタが 自然観察など各班のプログラムを約1時間ほど行いました。 どんな発見があったのでしょうか?
[意見交換]
終わりに集合して、簡単に発見したことなどを話し合いました。 マムシソウの実(有毒)がトウモロコシの実の感触と そっくりなこと。沢の音は少し強い雨の音のようで、 良く聞くと、二つの音が聞こえてくること。 普段、山を歩くだけなので、このような企画もおもしろかった。 等の発見や意見がありました。
[謝辞]
本イベントを開催にあたって、たくさんの方の協力を頂きました。 おかげさまで無事終了することができました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
歩く会友遊の皆様
広島エコミュージアム研究会(学生ボランティアスタッフの皆様)
中原武士様(野鳥の解説)
エコーレディース様
もみのき森林公園様
(社)広島県みどり推進機構様
広島県森林インストラクター連絡協議会様

トップページ 企画書 実施報告書

このレポートに関するお問い合わせはこちらまで
林 浩三 (Koso HAYASHI) / 全国森林インストラクター
e-mail:kobohayashi★hotmail.com(★を@に変更してください)

inserted by FC2 system