春の七草の話題(1998年1月11日七草粥の会より)
「はじめに」

当日は曇天のはっきりしない一日でしたが、 何とか傘を開くことなく1時間弱の散策を楽しむことができました。 このちょっとした観察会から膨らんだ連想が、このページを作るきっかけとなりました。 まずは、御建神社周辺を案内してくださった皆様にお礼申し上げます。 また西条プラザでの写真や鉢物の展示もたいへん参考になりました。 そしてなにより、おいしい七草粥を料理をしてくださった 山草同好会、東広島自然研究会、関係者の皆様にお礼申しあげます。

 摘んだ七草


 セリ(セリ科)
「セリの話題」

和風料理と相性のよいセリの香りですが、このセリの他にも、 セリ科には香りに特徴のある野菜、山菜が多いようです。 山菜ではシャク、アシタバ、ミツバ、野菜ではパセリ、セロリ、ニンジン、 カメムシ草というカメムシの香いのする香草もセリ科です。 ところで、このセリ科とウコギ科の仲間は似ている点が多いと思いませんか? 香りも含めて今度よく観察してみようと思っています。 ウコギ科にもウド、コシアブラ、タラ等、香りのよい山菜や薬草が多くあります。

「アブラナ科の七草の話題」

最近、スズシロ(大根)やナズナを見るたびに、これは「ロケット」によく似ているなと 思うのです。「ロケット」はアブラナ科の西洋野菜でイタリアでは 「ルッコーラ」とも呼ばれおり、サラダにすると、わずかな辛みとゴマにそっくりの香りが とてもおいしい野菜です。 ところで春の七草を分類してみるとアブラナ科3種、セリ科1種、ナデシコ科1種、キク科2種で アブラナ科が多いようです。これはアブラナ科の多くが越年草がであることや、 古くから野菜として利用してきたことによるものと思われます。 これに対し秋の七草は食べることより見た目の美しいものが多いようです。

  ロケット(アブラナ科)


 ハコベ(ナデシコ科)
「ハコベの話題」

この地味な雑草ハコベがナデシコの仲間であることは意外です。 ナデシコ科の仲間は葉が対生であることや花弁が5枚であることなどが特徴です。 また多くのナデシコ科の花弁は深く切れ込んでいるものが多く、 このハコベの花弁もたくさんあるように見えます。 どこにでもあるこんな雑草もこんな風に見るとまたかわいいものです。

「ゴギョウの話題」

エーデルワイスは、このハハコグサに近い仲間で高山植物のウスユキソウ のこと。どちらもふわふわの毛に覆われた葉が木枯らしの吹く寒い日でも暖かそうです。

 ゴギョウ(ハハコグサ)キク科


 「キク科のホトケノザ」正式和名はコオニタビラコ
「ホトケノザの話題」

ちょうど七草の日、会社の同僚とこのホトケノザが話題に上ったとき のことです。「コオニタビラコが正式な和名だよ」と説明したら、「ややこしい名前!」 と言われてしまいました。小鬼田平子と書いて説明すればよかったのでしょうが、 始めて聞いた人にとっては確かに覚えにくい名前です。 当日、田んぼにロゼット状に群生している姿を見ると、まさに田平子なのでした。 また念のために調べたのですが「シソ科のホトケノザ」は有毒となっていました。 でも中毒例はなく、猛毒ではないようです。

おまけの話題「ふゆづた」

JR西条駅から陸橋を渡り、御建神社へ、境内は自然の樹木を生かして きれいに整備されていました。この公園の 中に、「ふゆづた」がまるで木のように立っています。 蔦に絡まれた木の方は既に枯れてしまっているのですが、 それが外からわからないほどこの蔦で覆われ、 まるで一本の木のようです。枯れた木を切らずにこのように仕立てられた方の 思いが伝わる暖かい冬蔦でした。

 フユヅタ(ウコギ科)

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