[カイズカイブキ] Juniperus chinensis ヒノキ科

イブキ(カイズカイブキ) ヒノキ科
写真は国道486号線(旧2号線)広島県立賀茂高校付近のカイズカイブキの並木
(東広島市広報2000年5月号に寄稿した原稿に加筆したものです。)
歩道にイブキの枝が張り出し危険なので写真のようにキノコ状に刈り取ってある。そういえば東京の有名な某テーマパークでも同じようなイブキがあったことを思い出した。イブキに代表される針葉樹は萌芽力が弱いのだが、上部を残してあるので枯れる心配はない。この性質をうまく利用した知恵には感心する。 イブキの自生地は、他の樹木が育たないような海岸端の悪条件の場所が多い。針葉樹にはこのような性質を持ったものが多く、これをある程度条件のよいところに移植すれば実に立派な純林となる。しかも病害虫も比較的少ない。と言うわけで、イブキは生け垣などに広く利用されるようになった。 ここでも、道端で排気ガスや埃の多い悪条件のもとで、たくましく生きている。また幹や葉が「埃まみれ」になっているのを見ると、樹木が空気清浄器のような役割を果たしてくれていることがよくわかる。市街地の緑地帯は地球環境と森林の関係を表す小さなモデルに例えることができる。 ときには身近な自然を見てみよう。いつも通る道にも興味深い発見があるものだ。

後に、この原稿を読んだ学校関係の方から興味深いお話を伺うことができた。それはこの並木の歴史である。学校の近くを走る国道2号線(現国道486号線)の交通量が増えてきたためカイヅカイブキを道路沿いに植えた。その後さらに交通量が増えたためコンクリートブロック塀を作った。ところが、さらに大型車などが増え騒音防止のためにブロック塀の内側にアラカシを植えた。というエピソードだ。なるほど今ではアラカシも大きく育って写真を見るとその歴史がよくわかる。現在、国道2号線はバイパスとして市街地を避けて通っている。
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